水俣に学ぶ その5

産業廃棄物最終処分場問題に学ぶ

 (株)IWD東亜熊本は、水俣市での産業廃棄物最終処分場の建設を計画していました。計画予定地周辺には集落が点在し、温泉街もあります。下流には上水道の水源地もあり水道水への汚染の不安、地形的にも災害の危険性あり、湧水への汚染、搬入ルートなど交通災害への危険性、希少生物への影響等など課題が多く、水俣をまもらなくてはいけない、次世代に良い環境を残さなくてはいけないと思う多くの人々が力を結集し、産廃阻止の活動がすすめられていました。 私たちが水俣に行く直前の6月23日、市内に計画していた産業廃棄物処分場事業の中止決定が発表され、市に通知してきました。中止決定の理由は「今後の事業の見通しが立たない」とのことで、建設予定地の土地を所有する東亜道路の撤退は処分場計画の実施的な中止を意味します。2003年5月、該当地区の木臼野地区で事業説明会を開催してから2008年の中止決定まで多くの市民の待ち望んだことです。跡地問題は残っていますが、「水俣がどのようなものなのかわかっていなかった」というような開発業者の発言があり、無理なことをいうようなところへは渡らないと思われるそうです。私たちは市の産業廃棄物対策室室長と反対住民の方のお話を聞くことができました。中止の契機になったのは市長選で、市民と同じ動きを市がしたからだということでしたが、反対住民の方からは、地域で繰り返し説明会をおこなったが、理解してもらうには時間がかかったともお聞きしました。

ここで暮らしている人だからこそ、水源の位置を把握し、湧水か所21か所あること、1日の湧水量が500~600トンもあるということ、それらは大切な生活用水であることの重要性を訴えることができたと言えます。下流にも上水度の水源地があり湧水の汚染の危険性、地形上、災害時の危険性があること、クマタカなど希少動物への影響などなど現地の実態を把握していたし、本当に知っている住民の力は大きいと思えます。
建設予定地の跡地問題はまだ残る課題はありますが、市民の力で事業撤退へと追い込んだ事実は本当に喜ばしいことです。

そこに暮らす人たち自身が自分たちの生活を守るため、水俣病を経験した人たちはここに産業廃棄物処分場の建設を絶対に認めるわけにはいかなかった!