自治体が方針をもてば教育のインクルージョンは可能

大阪府豊中市の障がい児教育を視察して

10月18〜19日、生活者ネットでは大阪府豊中市の障がい児教育を視察してきました。
大阪府の障がい児教育の特徴は養護学級設置率が約96%と他府県に比較して高いということです。中でも豊中市はすべての小中学校に設置されています。(全国平均54.5%東京都20〜22%/西東京市14.3%)豊中市は昭和53年障害児教育基本方針で「障害児は地域の学校に就学し健常な児童と共に学び育つことが望ましく、そのために全職員の共通理解と協力体制につとめること」を定めています。
ですから、校長先生は地域に暮らす就学前の障がいのあるお子さんの状況を十分に把握をし、新年度の受け入れ体制を準備します。
その年は、障がいのあるお子さんが一人であっても、必要であれば養護学級を設置し、府に職員配置を要請します。
介助員は養護学級、通常学級の両方での子どもの学習支援の他、給食介助や医療的ケアにかかせないスタッフで、16年度は市34人府3人の計37人が配置されています。ご多分にもれず、大阪府は財政難で、年々を配置を減らしているとのこと。補完する形で市の負担が増えていて、今年の予算は5000万円。資格は教員または保育士、介助経験のある者、看護師のいずれかで、1対1の介助ではなく、教室に配置する形です。養護学級に籍をおく子どもも、ホームルームは原則通常学級で、最重度のお子さんでも教室にベッドをおいたり、自閉傾向のお子さんのために教室内におちつける居場所を用意することもあるとのこと。確認していませんが、給食は介助がついてホームルームでとるのだと思われます。

カリキュラムは子どもの実態に即し、保護者の意向に添いながら作成し、個別の指導重視であれば固定級での時間をふやし、集団のなかでの他者との関わりを重視するのであれば通常学級での時間を増やすという形です。
見学させていただいた学校では、養護学級担任4人と介助員1人の他、専科の教員、その他の嘱託職員を組み合わせて学校全体で知的、身体、情緒障害の14人の子どもの学習支援をしていました。見学した時間にはいわゆる固定級では子どもは一人しか見られず、その他はお休みか通常学級で学んでいるところでした。支援体制を個別に組むことは容易なことではないと思われるのに、当たり前のことと校長先生や市教委の職員は考えています。

自治体が方針をもてば、国の分離教育の制度下でもここまでのインクルージョンができるということに勇気づけられます。通常学級と養護学級での生活も子どもたちに大きな混乱はないようで、東京の保護者、教師とも障がい児教育に対する思い込みや囚われがあるように感じましたが、それが払拭されるには相当の時間と積み重ねが必要なのでしょう。西東京市は学校施設のバリアフリー化については必ずしも後ろ向ではありませんが、ソフトとなると前途多難。施設面ではむしろ豊中のほうが進んでいない印象でした。かつておとずれたカナダで、施設はバリアだらけであったのに、車椅子等の障がい者に対して手助けを惜しまない市民の様子におどろいたことを思い出しました。そういえば大阪駅もエスカレータは少なかったですね。

市議会議員・森下のり子