2005年10月に行われた国勢調査の集計も終盤に入り、そろそろ各自治体でのまとめが国に報告されると聞きます。新聞等では、「回答拒否の続出や不在などで調査員が途中で止めるなどの事態が生じる自治体もあり、大揺れの調査だった」と報じていました。
先日、国勢調査の見直しに関する学習会に参加しました。学習会では「今回の調査は、5年前に比べ、大きい変化があった。総務省が全世帯に密封提出を可能とする専用の封筒を配布したことだ。それでも一段と回答拒否による調査の困難さが増した。その背景には、個人情報の保護意識や治安への警戒心、オートロックなどの居住環境の変化があるが、現状の対面方式はもう限界だ。全数調査が必要な人口調査と社会調査は切り離し、後者は抽出方式にするなどの見直しの時期に来ている。」との指摘がありました。
調査期間中、私のところに市民の方から「調査員から、各家庭の家族構成・男女人数の一覧表を示され我が家のも記述するように求められたが、近所の家庭の様子が分かり、プライバシーが侵される。こんな方法をとって大丈夫か」との問い合わせがありました。
早速担当課に聞きましたら、「研修では、調査員が聞き取るよう指導したが、伝わっていなかったようだ。早速再指導する」とのことでした。
このように調査員が誤って対応することもありました。また別の市民の方から「家庭の内情が分かるので封入したかったけれど近所の知り合いが調査員だったので封筒に入れないまま渡した」と不安がる声もありました。
国勢調査は“統計法・国勢調査令”で各自治体の法定受託事務と位置づけられています。
西東京市は、総務省の説明通り、封筒は配布するけれど、どうしても見られたくない人は封筒に入れて提出する方法を取りました。その結果封筒での提出は全体の約3割とのことでしたが、市民からの苦情や相談、問い合わせは約6千件あり担当職員の苦悩そして調査員の負担はこれまでに無く大きかったと推測できます。
世田谷区、練馬区、中野区、三鷹市のように、全世帯封入方式を取っていれば、市民の反応もまた違っていたかもしれません。
今回の国勢調査は650億円かけ17項目の調査でしたが5年後は22項目の大規模調査です。現在の調査手法では実施が可能か危ぶまれている中、総務省は見直しに向けた検討をはじめると聞きます。5年後、今回と同じようなことのないよう西東京市からも、プライバシー保護を最優先した抜本的見直しに向けた改善策の提案が必要です。
国勢調査〜個人情報保護を最優先した見直しを
(市議会議員・渡辺かつ子)