先日(2005年7月27日)西東京市教育委員会が開催され、来年から使用する中学校の教科書の採択を行いました。私も、どのような審議で教科書を決めるのか気になり、傍聴に行きました。傍聴希望者は約50人、当初予定していた部屋は、傍聴者が10人までしか入らない部屋でしたが、すべての傍聴希望者が入れるよう、急遽会議室を大きい部屋に変更したことで、全員が直接傍聴することが出来ました。4年前も同じ位の傍聴希望者でしたが、傍聴席が用意できないとの理由で、半分以上の人が、傍聴できなかったことを思うと、今回の教育委員会の対応は評価できます。教育委員会が以前より少し市民の方を向き始めていると感じました。
さて教科書の採択方法は、一つの教科ごとに、「市民参加の教科書選定委員会」が各教科書会社の教科内容を調査し、その評価点や課題を示します。それに対し教育委員会の委員が質疑をした後、意見を述べて、挙手で決定する、と言う方法で行われました。
注目の歴史教科書も同様に、行われました。各委員とも、質疑の後「多面的に考察できるように様々な事例を載せていること。資料が適正。図・写真がバランスよく配置して見やすい。日本の地図と世界の地図があり、生徒が勉強したい意欲が湧きやすい」などの趣旨の理由を発言した後、上記の歴史教科書に決まりました。
全国的に「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社の歴史教科書は、その関係者が採択のため強い政治的圧力をかけていると聞きます。どの自治体の教育委員会も、政治的な力関係の中で判断するのでなく、子どもに一番近い現場の教師の意見反映と子どもが学びやすく、正しい判断ができる教科書選定に努力してほしいものです。
翌7月28日に行われた東京都教育委員会は、都立の中高一貫校4校と盲・ろう・養護学校の歴史教科書を「扶桑社」の教科書に決定しました。史実の歪曲、戦争の美化など指摘されている扶桑社の歴史教科書で学ぶことが国際社会の中で、多様な国の人たちと対等な関係で友好関係を作れる人材が育つのか危惧します。最も民主的で中立であり、自由で創造的であるべき教育の場に、政治介入が行われ、都の教育委員会はその力に屈したことに、失意の念を禁じえません。
まだ決定してない自治体の教育委員会は、分権時代の中で、都の決定に惑わされることなく、中立・公平・公正な姿勢のもとでの独自判断を期待したいものです。