8月になると、ひとことでは表現しきれない、様々な戦争の被害の事実がいろんな形でTVなどで放送されます。これまで口を閉ざしていたひとが、強い意思をもって真実を伝えてくれています。そのたびに、戦争を知らない私だけれど心が痛みます。生活者ネットが自主上映(10月14日こもれびホール)した映画「蟻の兵隊」で、日本軍山西省残留問題を初めて知りました。戦争という悲劇の計り知れない深さを、また思い知らされたような気持ちです。第二次世界大戦後も上官の命令で中国に残留し内戦を戦い、日本に帰国すると「逃亡兵」扱いで恩給を受けることもできなかった奥村さんが、晩年を迎えた今、真相解明のため中国にまで渡り調べる姿、軍司令官を訪ね証拠を探し求める姿…。真実を明らかにするため戦後保障を求めた裁判に、裁判所は門前払いの対応。上告を棄却し、弁論も開かれません。なんということでしょう!これが「美しい国 日本」の現実です。
私は、戦争がイヤです。憲法の改正が議論されようとしている今、北朝鮮の核実験が行われた今、日本はどこを向いて、国民のしあわせを守ろうとしているのでしょうか?「美しい国 日本」と唱えているひとは、どんなことを「美しい」と表現しているのでしょうか?戦争によって心も身体も傷つけられ、今必死に生きている戦争被害者を包み込むやさしさも持てないひとが描く「美しさ」には共感できません。
だれもが戦争はイヤだと本気で思えるよう、戦争の真実をしっかり伝えていかなければいけません。そして、私は、「憲法9条を内外に広める」活動をすすめていきます!
上映に先立ち、女優の高畑淳子さんといっしょに朗読をさせていただきました。
450人もの市民の方を前に、「『蟻の兵隊』をみてくださる方、本当にありがとうございます」と読みながら、熱い思いがこみ上げてきました。平和を心から願い、奥村さんの人生に共感できるひとたちとひとつになっている空気を感じたからです。
ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
(板垣洋子)