市長の提案する本予算が否決されて、暫定予算になるケースが新聞等の報道でよくみられますが、今回の、西東京市のケースはこれとはすこし事情が異なります。市長選が2月にあるため、新市長が年間予算の編成方針を指示しても、時間的に調整は困難で、最初から数カ月の暫定予算を市長が提案する形です。 それでも、暫定予算(つなぎ予算)は短い方がよいに決まっています。暫定予算には義務的、必要最小限の予算しか計上できず、新規事業、市長の政策的な事業に係る経費の計上は望ましくないと自治法に定めがあるからです。ですから、できるだけ早い時期に本予算(通年予算)を決めることが重要です。
市長は暫定の期間を2ヶ月で提案、自民公明は3ヶ月を主張。理由は6月定例会を5月に前倒して開催することに応じられないというもの。なぜ応じないのかについては市長が事前に議会に相談しなかったからなのだそうです。
ネットが事前の相談というのはどのような手続きのことをいうのか質したところ、行政はそのような正式の手続きは知らないということ。自民、公明が要求しているのは、要するに非公式に相談をすべしということのようです。
議会としては、青嵐中の建て替え等、2ヶ月の暫定予算で影響をうける事業(15事業が提示された)への影響をできるだけ少なくするために、5月中に本予算の審査をし、結論をだすことが最大の責務であるはず。
自民公明は5月中の議会開催に応じないかわりに、暫定による影響をうける15事業について、4月に臨時議会を開催し、15事業にかかわる諸経費を加えた6月までの暫定予算を提案するよう市長に要望し、市長がこれを受け入れたということです。
ネットは、できるだけ早く本予算を決める必要性から、5月に議会を前たおして開催すべきとの立場でした。しかし、議会の開催時期をきめるのは全会派一致が原則との慣例であるため、自公が応じないのならばその選択肢はありません。4月臨時議会で審査することで、当面の15事業への影響を最小にできるのならばと、3ヶ月暫定を主張する自民、公明案を受け入れることとしました。
ただし、3ヶ月のつなぎ予算とすることで、15事業の他、影響を受けるあらたな事業が浮上することになります。市民生活への影響に配慮したことになっている今回の政治決着が本当にそのとおりになるのかは、定かでありません。
ちなみに、青嵐中の建て替えについては、今回の政治決着でも、スケジュールのおくれは取り戻せないことから、議会の自己満足といわれることも覚悟しなければならないでしょう。
取るべき最善の方策は、今議会に、年間を見通した骨格予算を提案することでしたが、これは2月18日に就任した坂口氏には取りえません。なぜなら、骨格予算編成の指示は1月頃に出すのが普通で、これをできたのは前任者(保谷こうはん氏)でありました。骨格予算には暫定と同じく、政策的な経費を計上することは馴染まないということですが、青嵐中のように、前年度から仮説校舎の建設がはじまっているような事業は計上できるので、前市長のご配慮があったならとつくづく思います。
市議会議員・森下のり子