東大の説明によると、移動してきた技術職員が1997~99年に、ばかいね病にかかった苗の消毒に水銀剤を使用した。この種モミを育成し収穫されたお米は、一般へも販売された。しかし、購入者の特定は不可能だし、その米も既に存在しない。ただし、研究用田では、この水銀の使用が許容されているということから、同様の消毒が行われた圃場にあるもので検査を行なった。その結果は検出限界以下で、安全性に問題はないという説明でした。
イネのほかにも2006年には柿の苗木の消毒、2007年には林檎の苗木の消毒に使ったことも報告されました。これらはまだ果実をつけていないこと、リンゴは食用ではないと報告されました。農場内にある井戸3か所については簡易な水質検査を行い井戸水中の水銀濃度は検出限界以下だったことの報告はありました。
すでに使用禁止の水銀が現在まで残っていたこと、さらにそれを使って消毒を行ったたという作業内容や育成記録の点検の不十分さ、また消毒後の水銀の含まれる水溶液をその場に捨てたという取扱い、いまだにその水銀が存在していたこと、通報で事実が明らかになったこと・・・・この事件は、一人の技術職員の問題だけでなく、大学の化学物質の取扱いに関する管理体制の不備により生じたものと思われます。今後このようなことが起こらないためには、大学内や農場の危険物の管理の再構築が急がれます。
東大農場は、市民との信頼関係を築き、存続を願う市民の思いが叶い、今年8月の移転中止の報告を喜んだばかりです。西東京市においても昨年、東大農場での食育啓発のモデル事業として、稲刈りからおむすびづくりのイベントや、中原小学校5年生を対象としたひまわりの収穫、搾油、食の体験学習を市民活動団体の協力も得ながら実施しています。そして今後の東大農場の整備などは西東京市のまちづくりに貢献するものとなるよう協議がされているところで市民の注目も高くなっています。
トップリーダーとして農業を牽引すべき大学院の農場で、このようなことが起こってしまったことは本当に残念でなりません。今後は丁寧に徹底した調査を行い、情報をしっかりと公開し、市民に事実を明らかにし、説明を行うこと、また生産物を利用されたかたへの対応もできる限りの最善を尽くし、信頼関係の修復に努めるめきだと考えます。
(写真は、昨年の東大農場での収穫祭)