行橋市は、1995年に政治倫理条例を全部改正し、新条例を制定しています。
条例の対象に教育長を追加、、新たに議員及び市長等の責務と政治倫理基準が設けられています。また、市民の責務の項目もあり、資産報告書の提出の拡大、税金などの納付状況等報告内容の追加、市民の調査請求権の拡大等々全面改正が行われ、施行規則も全面的に作りかえられました。
この条例により、政治倫理審査会が調査をした事例が昨年ありました。それは、法人の代理人とみなされる議員が、法人所有の農地改良を無許可で行ったという事に対する疑義です。
代表者会議において、議長から市長あてに調査請求権が提出され、市長は、審査会会長に諮問をしました。6回にわたる審査会の結果、「地域住民に多大な被害と迷惑をかけており、違法行為や著しい不適切な行為があったと言わざるを得ない」と指摘をした答申が出されています。
その後、代表者会議で審査結果が報告され、当事者の議員は反省と謝罪を行ったそうです。
しかし、代表者会議、審査会は、傍聴はできず、議事録などの公開もされていません。
資産報告書の記入に関する規定や資産公開制度にも課題があり、今また見直しの検討の声があるそうです。
政治倫理条例の説明の前に行橋市議会議長は、挨拶のなかで地域事情のお話をされました。行橋市は今年4月「暴力団排除条例」を可決、4月1日から施行されています。市民生活や社会経済活動に暴力団が介入し、市民の安全で平穏な生活に影響を及ぼすということがあり得るということに驚きました。
西東京市においては、2009年9月に「西東京市議会議員の資産、所得等の公開条例の制定を求める陳情」が市民の方から提出され、企画総務委員会での審査を経て3月議会で不採択になっています。その時の企画総務委員会審査のなかで、政治倫理については、継続的に協議をするという意見が多数あり、議会運営委員会の協議項目となりました。
生活者ネットは、前述の陳情に賛成しています。議会や議員に対する不信感を否めない状況のなかで、議員活動や資産や所得などを明らかにし、市民に情報公開することに意義はあると考えます。
行橋市の地域事情のようなことはあり得ないにしても、政治倫理条例によって何を実現しようとするのか、根本的な議論をし、目的に沿った条例づくりをすすめることが必要ではないでしょうか。
市議会議員・板垣洋子