『女性目線での避難所運営』学習会に参加しました

〜東日本大震災、被災地と東京の避難所の現実から〜

全国女性相談研究会のチラシより(掲載許可を頂きました)
(掲載許可を頂きました)

2011年8月13日(土)午後2時30分から開催された、東京・生活者ネットワークの女性部会の学習会に参加しました。
報告と提起をしてくださったのは、吉祥眞佐緒(よしざき まさお)さん(全国女性相談研究会・エープラス)と本間博子さん(全国女性研究会・弁護士)。

全国女性研究会が、避難所の支援に関わるようになったキッカケは、埼玉県の男性弁護士で、日頃はホームレスや多重債務などの案件を手がける方に「避難所は、予想以上に女性と子どもが多かった、日頃から女性の支援活動をしている団体として参加して欲しい」と、震災支援ネットワーク埼玉(SSN)に誘われたからだそうです。

お二人が活動されている団体、全国女性相談研究会(SEDA)はDV(ドメスティックバイオレンス)のない社会を目指して、DV被害者支援を行う専門家グループです。

「震災が起きたあと、性被害やDVが増えるのではないかと心配していたが、実際に避難所に支援活動に入って、避難所の実態は、DVの被害者と似ていると感じた」と吉祥さんから報告がありました。

避難所では、女性たちは一生懸命食事の世話や洗濯をしていたとのこと。避難所を女性の目線でチェックをすると、生理用品はあったも生理用ショーツがない、女性用の更衣室も授乳室もない。毛布にくるまって、もぞもぞしながら着替えをしている女性の脇を大勢の報道陣がズカズカと通りすぎる、壁に向かって赤ちゃんにおっぱいをあげているお母さんがいる。子どもたちが遊ぶスペースもない。

最初は、吉祥さんたちが気付いた問題点を指摘しても、ことごとく却下されたそうです。それでも、女性の支援活動を避難所で続けると腹をくくり、会議のなかで理解してくれない男性たちや女性(!)と戦いながら、少しづつ、要求が通って行ってたとのことです。出入口が丸見えの、目隠しのないトイレの付近で、人の出入りや時間をチェックし、暴言を吐いていた男性もいたようですが、吉祥さんたちの要望が通り、卓球台を利用して見事な「ついたて」ができたとのことです。(このついたては、後に東京電力がお詫びにきた際に、掲示板としても活用されたそうです。)

肝心の女性相談も「女性相談」というと来られない雰囲気があるので、「女性限定ハンドマッサージ」のブースを開き、ハンドマッサージをしながら「眠れてますか?ご飯食べられてますか?」など11項目におよぶ質問をして支援にあたったとのこと。聞きやすい環境を用意したとのことです。だんだんと小学生の男の子たちからも「ボクたちにもやって」「爪を切って」などの声がでてきたので「男の子タイム」も設けて悩み相談にのったそうです。

相談のなかには「ボランティアのお兄さんから性被害にあっている。絶対ママには言わないで。」との声が。
「阪神淡路の震災の際にDVや性被害が増えた…、(震災時に起こるのは)本当なんだ…。」と思われたそうです。それなのに、女性に特化した支援活動は、避難所でなかなか理解が得られず、女性トイレに貼った「ハンドマッサージ」のお知らせは全部はがされてしまったとのことです。避難所は、それぞれの場所で、人数、情報、支援の格差があるとのことでした。

本間さんからは、弁護士としての支援活動の報告がありました。
「お困りごと相談」と称して、法律でどうかすべきこと、制度の紹介などをした。ニーズを拾って、交渉して、改善して、みんなに知らす。入り口を下げて、被災者が来やすいようにしたとのことです。

「(自動的に)貰えるものはいただくけど、請求しないともらえないものは……」と、いう人たちへのために8月16日には、霞ヶ関の「弁護士会館」にて、無料説明会を開催するそうです。

質疑の時間では、「地域防災計画」に最低限入れるべきものは、の問いに「担当の部門に役所の女性がいないと。非常時に女性がいるといないでは大違い。女性の支援・子どものケアは、どこがやれそうなのか、誰のための何の支援か、支援の必要な人の声を聞くのが大切。地域ごとの自治組織が大事。日頃からまちづくりをしておくこと。女性の視点が欠けている。」と答えてくださいました。

現場での支援の様子を、あるときは怒り、またユーモアも忘れず、誠実に伝えてくださった吉祥さんと本間さん。日頃、生活者ネットワークの活動のなかで言い続けている、「女性の視点」が重要であることを再認識しつつ、「女性相談」が堂々とブースを開き、女性が自由に参加できる雰囲気が作れないというその現実に怒りを禁じ得ない気持ちで、報告会の場を後にしました。今回の報告を活かして、9月議会に女性目線での防災計画の提案をして行きたいと思います。またこのホームページを見てくださった方のなかに、東京に避難されて、弁護士相談が必要そうな方、またお知り合いにいる場合はぜひ、説明会にご参加いただきたいと思います。

「ひとりで悩まないで」

全国女性相談研究会が化粧品を配給するときに貼った連絡先とともにシールに載せた言葉を被災された皆さんに捧げます。

弁護士による
原発事故損害賠償請求準備のための無料説明会
[場所・弁護士会館二階 東京都千代田区霞ヶ関1−1−3 JR山手線 有楽町駅より徒歩15分]

予約不要 各会定員1000名
日程 8月16(火)
時間・午前の部
10時 会場
10時30分〜11時30分 説明会開催
時間・午後の部
14時 会場
14時30分〜15時30分 説明会開催
主催 東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会
[問い合わせ先]03−3581−2250(第二東京弁護士会宛)