今、西東京では「人にやさしいまちづくり条例」が当事者参加で検討されています。高齢者や障がい者だけでなくすべてのひとが暮らしやすいまちにしていくためにハード、ソフト両方の障壁をとりのぞいたまちづくりを進めようというものです。
生活者ネットワークがとりわけこだわってきたのは、施設の設計、施工、事後の評価点検の各段階への当事者参加でした。残念な事に今のところ行政はこれを受け入れようとしません。設計は専門家にまかせておけばよい。バリアフリーの基準を当事者参加でつくっているのだから十分だということです。私は基準を満たした施設が必ずしも利用者に使いやすいとはいえない例をいくつも見て来ました。それは設計の専門家がバリアフリーの専門家ではないからです。いうまでもなく、バリアフリーの専門家とは高齢、障がいの当事者です。
先日テレビを見ておりましたら、世界的に有名な建築家の安藤忠雄氏が地方のコミュニティーセンターの設計をする際、担当の若者を既存の福祉施設に研修に行かせて、実際に施設の使い勝手を体験させていました。若者は障害者用のトイレが壁に寄せて設置してあるために介助者が使いづらいことを発見し、新しい施設では便器を斜に設置するよう図面を変更する場面が報道されていました。私はこれをみて、設計者に当事者の意見を反映させるよう求める事は可能だと確信しました。安藤忠雄氏の仕事ぶりはさすがですが、だれが設計してもこのような配慮がされるべきですし、むだのない税金の使い方ができるはずです。
この条例が本当にすぐれたものになるかどうか、今一歩のところです。