予算には義務的経費というものがあり、たとえ予算を修正することがあったとしても、人件費などの義務的経費を修正することは、法的にできません。12月に可決された条例に基づいて、予算は執行されることになります。
拒否できない報酬
生活者ネットは、特別職報酬値上げに反対しましたが、4月からは新条例に基づいた報酬が支払われることになります。
「値上げに反対しておきながら、値上げ分を受け取るの?」という素朴な疑問が生じるかもしれません。しかし、「値上げ分はいりません」と拒否できない仕組みとなっています。
値上げ分を供託する方法も検討しました。供託は法務省に預ける制度ですが、10年が経過すると国に没収され、行先は不明確。供託しても、市民には何のメリットがないとことがわかりました。10年以内に供託を中断し、手元に戻すことができますが、何年後かに返金されたお金を、いったいどうするの?結局、ここでまた課題が生じてるわけです。
何年後かに、値上げに対する市民の怒りも遠のいた頃に、その使途を検討するよりも、市民のみなさんの関心が高い今こそ、値上げ分を有効かつ効果的・公平に、市民のみなさんに還元できる方法を考えようと、生活者ネットの全体会で検討を行ないました。
寄付でひろげてきた市民政治
仕組みがあるから、ひろがった!
生活者ネットの議員は報酬から一定の金額を差し引いた残りを生活者ネットに寄付することをルールとしています。
議員活動報告と情報公開に市民活動の情報受発信の役割も含めたレポートの作成と配布、誰もが参加できる学習会、講演会の開催、調査活動からの政策立案など、市民政治を拡げるため、市民が力をつけるための活動は、ネット議員からの寄付のルールで集まったお金を主な資金としています。
また、寄付のルールは、資金を持たない一(いち)市民、女性が議会に出ることを可能にし、議会を変えてきました。こういった仕組みをつくることで、ただ反対するだけ、一時のパフォーマンスだけでない、将来を展望した政治活動ができたと自負しています。
今回の件でも、審議会に諮問が出されたことを、生活者ネットのレポートでいち早くみなさんにお知らせし、同時に議員報酬と定数についてのアンケートを行いました(結果は10月15日発行のレポートに掲載)。答申が出された後、11月24日には「議員報酬を考える」集会を開催し、市民意見を出し合い、また、街宣やレポートなで状況をお知らせしました。
さて、値上げ分の有効活用をどうするか?
生活者ネットは、税金が投入される議員年金廃止の運動を行なう一方で、「いらない」といっても支払わる年金を、廃止されるまでは有効に使おうと、議員年金を全額寄付し、広く市民活動支援に使う仕組みを東京全体で構築しています。
今回の値上げ分を、議員年金同様に、市民が自治する力をつけることや、持続可能な社会をつくるために使えないだろうかと検討しました。
なかなかの妙案も出てきましたが、市民のみなさんの意見を聞こうということになりました。
次回のレポート配布の時にアンケートをお願いする予定です。
アンケートから実行までの間は、まずは、市民が力をつけるための学習会などを開催していきます。
すすめたい−逆手にとって議会改革!
今回のことで、議会や議員に関心をもたれた人も多いと思います。
どうすれば民意を反映した議会になるか。「民意」といってもただ多数の人に利するものではなく、多様な人、弱い立場の人の意見が反映されてこそ本当の民主主義ではないか。そうであれば、そのための議会とはどのような議会か、またどのような議員が必要なのか。そもそも議会がなぜ必要なのか。
いま、あちこちで議会改革が始まっており、「議会基本条例」を制定した自治体もあります。
生活者ネットも「変えなきゃ!議会」に賛同し、議会改革を進めています。
そこで、学習会企画の第一弾として、議会改革、議会や議員のあり方、報酬について考える学習会を開催します。
詳細が決まり次第お知らせしますので、ぜひご参加ください。
いずれにしても、大切なことを決めるには、また変えていくには多くの市民参加が必要です。
特別職報酬の見直しについても、市民参加で改めて審議しなおすことを提案していきます。
「怒り」を武器に、「関心」をきっかけに、普通の市民が政治に参加することで、社会は変わります。参加の裾野を広げていくための、「お役に立つ」生活者ネットでありたいと思います。