IHI跡地の向台町3丁目・新町3丁目地区約10.7haは2006年に西東京市で初めての地区計画の都市計画を決定し、周辺のゆとりある住環境と調和した環境共生のまちづくりを進めるため、既存樹木を生かした道路、公園などの整備により地区の生活基盤水準の向上を図りつつ、緑豊かなゆとりある複合市街地の形成を目指した地区です。戸建住宅、19階建の高層マンション、高齢者施設、病院、商業施設がそれぞれ計画され、敷地周りと中の道路や公園は完成。戸建も建設終了、スーパーもオープンしています。そして、5月には、「西東京市人にやさしいまちづくり条例」の第8条(表彰)に基づき(株)IHIも表彰された1社となりました。「人にやさしいまちづくり推進協議会」の傍聴で、この表彰の説明を聞いた時、地域住民の方からは陳情が出されたり、開発による生活環境の変化への不安を持つ市民の方の声を聞いていたので、表彰には違和感を感じました。確かに開発によって整備された道路は、金額に換算すると莫大なものとなりますが・・・。
現在、計画決定後3年が過ぎようとしていますが、病院は建設が2年延期、高齢者施設は(株)ぜクスから2月27日に大規模土地取引行為届出書がされ、契約締結予定は5月25日となっていましたが、その後の動きはないようです。また19階建ての高層マンションは、(株)コスモスイニシアが事業再生ADR手続き中で、6月から建設工事が休止したままです。開発が予定通り進まないのも昨年秋からのリーマン・ショック後の世界同時不況の影響なのかもしれません。表彰の対象となった道路を走る車も少なく、歩道を通る人もまばらです。(今はますますこの表彰に違和感を感じます)
09.4〜6月期のGDPは5期ぶりのプラスと報告がありましたが、(株)IHI跡地をみても、自転車で市内を走り回っていてもまだまだ不安を消せない経済状況が実感としてあります。
板垣洋子