7月に厚労省で発表した「児童相談所における児童虐待相談件数及び子ども虐待による死亡事例等の検証結果の第5次報告」によると、2008年度の児童虐待相談対応件数は過去最多の4万2662件。10年前の6932件から6倍以上になっている。2000年児童虐待防止法が成立。2004年には改正児童虐待防止法が成立。西東京市においても、2007年、子ども家庭支援センターの機能を強化し、虐待の予防と早期発見、見守り機能をもたせた先駆型に移行し、子ども虐待防止のしくみづくりが始まっている。現状と課題、対策は?
→新規の相談件数は435件、養育環境、虐待など子どもの擁護相談が約50%(虐待相談は47件)。様々な要因が入り組んでおり、1つの機関だけでは解決できない問題をかかえている家庭が増えている。相談員の活動回数も2007年度3509回から2008年度6721回。2008年度に外部21機関、庁内関係部署14機関で構成する要保護児童対策地域協議会を設置し、代表者会議、k実務車会議、ケース検討会議、さらに個別検討会議などを行って対応している。今後も関係機関との連携、ネットワークの充実を図ってまいりたいと考えている。
子育て家庭が抱える問題も深刻化、複雑化するなかでの虐待への解決は追いつかない状況。要保護児童対策地域協議会を子どもの視点にたってコーディネイトし解決していく力量も問われます。早期発見、早期支援の体制の更なる強化が必要です。しかし、いったん問題が発生してしまえば、その対応も解決も大変に困難なことは明らかです。子育て環境は良いとは言い切れない現状の中で、ボーダーのところにいる子育て家庭に対して、虐待などを未然に防ぐ予防的対策こそが重要です。Nobody’s Perfectプログラムのようなグループワークで、親自身が本来もっている力を引き出すことや親どうしの仲間づくりをサポートする「自立支援の視点にたった子育て支援策」がすすめられることを今後も提案していきます。
板垣洋子