原発再稼働反対にかみ合わない議論  請願否決される

原発再稼働に反対し全原子炉を廃炉とし、原発ゼロへの政策転換を求める意見書を国に提出してほしいという請願を、19の市民団体が行った。
請願は企画総務委員会に付託され、後藤・かとう両議員が請願の紹介議員として委員の質問に答えるのを、15人ほどの傍聴者に交じって傍聴した。

原発をいずれゼロにすることには賛成と言いつつ、エネルギー政策を感情で判断してはならない、当分は原発が必要という立場の委員とは、議論を噛み合わせることは難しい。これは、「当分」稼働している間に事故が起きたら―という命題への認識の差によるものなのだろう。

新規制基準は「安全とは言い切れない」と原子力規制委員会自体が公言している。にもかかわらず、過酷事故を経験してなお舵を切らない政治の罪は重く、無責任といえる。
ひとたび事故が起きると破滅的事故になる危険性のある原発の事故確率は「0(ゼロ)」でなくてはならず、0にするには稼働しないこと以外にない。これは、感情論ではなく、「福島」を経験し、今なお多くの人が避難生活を強いられ、損害賠償や除染・中間貯蔵施設建設などに既に10兆円を投じている事実を見据えた極めて現実主義的見解だと思うが、そこの認識が違うのだからかみ合うはずはない。

「政治家は税金を最適配分する責任がある」と言った発言者(議員)に問いたい―増え続ける核のゴミの最終処分場さえ決まらないままに、いまだ原発稼働に税金を投じることが、税の最適配分なのか? 省エネ、再生エネルギーの促進に政策を転換させることの方が、よほど税の最適配分であろう。

来年には電力会社を選べるようになる。市民サイドとしては、原発によらない電力会社を選択することで原発ゼロを促進していきたい。

(金尾敏恵)

請願への賛成 共産、民主、ネット、みらい(2人)、無所属2人
請願への反対 自民、公明、みらい2人(維新、次世代)