「神の子たち」は、フィリピンのごみ捨て場スモーキーマウンテンで暮らす人たちを撮り続けている映画監督四ノ宮浩さんの第2作目です。(3作目「バスーラ(タガログ語でごみの意味)」は今年公開されました)
映画は、大雨の影響で地盤が緩み、ごみの山が崩壊し、そこで暮らす人たちが生き埋めになってしまう悲惨な事故から始まります。住民たち500世帯が下敷きになり、死者は1000人以上。事故の再発を恐れてごみの搬入を政府が中止し、ごみ拾いで生計をたてていた住民の生活は一層過酷なものになっていきました。泥棒するくらいなら飢え死にする方がましと答える少女。過酷な環境のなか未熟児で産まれて間もなく亡くなる赤ちゃん、小さな棺。水頭症の男の子は文字を書くことを学びたい!と答える。ご飯に塩だけの家族そろっての食事・・・衝撃的な映像が続き、事故から4ヶ月後、ごみ捨て場にごみが戻り映画は終る。映画の中の貧困の状況は、極限といえる過酷な生活にみえます。でも、支えあう家族には絆があり、優しく強さもある心を感じました。
「見ていられない」と途中退席された方もいらっしゃいましたが、衝撃的、知らなかった重い現実を知った、生活を見直したい…等の感想も聞きました。
「映画をみて終わるのではなく、できることをやってほしい。」とは、監督のことばです。西東京での上映会が実施できたのも、映画をみて終わりにしなかったからです。そして、この上映会に来られた方たち 其々が次のアクションに繋がっていくのではないかと思います。
実行委員会では、この上映会をきっかけに、繋がった人たちと次の活動を始めたいとの話もでています。
何かをしたい、何ができるか、小さな思いを集め、形にしてフィリピンの子どもたちに渡そう!「長靴を送ろう!!」と。監督のトークのなかで、「監督自身が現地での撮影をするなかで限界を超えた」という話は特に響きました。
これまで限界までの経験をしたことがあったのだろうか?・・・本質的なことを見失うような暮らし方をしていないのか?振り返ると心が痛む・・・私もできることからやらねば!と決意。
子どもの権利条約が国連で採択されて20年。日本は1994年に批准。日本でも子どもの貧困が問題化されています。この先もっと悲劇的な状況も危惧されます。身近な自治体においても、子どもの成長発達保障がされること 子どもたちの将来を見据えた提案をしていく必要性があるということも考えさせられました。
板垣洋子