先日、市民団体「多文化共生・国際交流センター」と西東京市の共催で行なわれた“多文化共生の地域づくり”の講演会に参加しました。講師は、この3月に報告書を出した総務省の「多文化共生の推進に関する研究会」の座長、山脇啓造氏(明治大学)。
参加の動機は、先の2006年6月議会で行なった一般質問です。私は“財政・市民参加・コミュニティビジネス”など大きく5項目の質問をしましたが、その中の一項目が「多文化共生のまちづくり」についてでした。質問内容は、①総務省の「多文化共生推進プログラム」の提案を市長はどう受け止めているか、②西東京市の多文化共生施策、③外国人の市政への参加などでした。質問をするにあたっての調査の段階で、総務省の上記の研究会の報告書は大変参考になったことから、その座長の話は是非聞きたいと思ったのです。
印象的だったのは以下の内容です。
「多文化共生という言葉が社会に広がってくると、その意味する中身が曖昧になったり、希薄になることから定義を明確にしたい。それは『国籍や民族など異なる人々が互いの文化的違いを認め合い、対等な関係をつくりながら共に生きていくこと』
“国際交流”を“多文化共生”に置き換える自治体や団体もあるが、この両者の意味は大きく違う。“国際交流”は、外国との交流や外国から来た人との交流でいわばホストとしてゲストを大切にもてなす発想。しかし“多文化共生”は外国人を地域社会の一員として認めトータルな生活支援と共に社会参加を進める仕組みをつくることだ。外国人支援は多文化共生社会をつくる上で重要なことだが、その支援は外国人が地域社会で自立する為のものであるべきで、共に生きるパートナーとして互いに支えあう関係をつくることが前提だ」
法務省の報告では05年末で外国人登録者が201万人を突破したとのこと。西東京市ではこの4月1日で外国人登録者は2804人。人口の約1.5%にあたり年々増加傾向にあります。
さて前述の私の質問に対しての市長の答弁は「多文化共生に関わる部署の連携を取るため庁内に横断的組織の整備をしたい。市政参加は市民参加条例で柔軟に対応したい・・・・」というものでした。
生活者ネットではこの間、外国人の市政参加の一つとして、ニーズ調査・実態調査を住民基本台帳だけでなく、外国人登録者も対象にするよう提案してきました。山脇先生は、この点について「外国人登録は管理や監視のために出来た物なので、多文化共生の視点と異なる。定住外国人も住民基本台帳に統一すべき」との趣旨の意見を述べました。
西東京市に住み、働き、学ぶ外国人の方々と互いの違いを認め合い、共に地域社会をつくるために、市政参加などの様々な仕組みを促進することは地域から平和を構築することになると確信した講演会でした。
多文化共生社会で地域から平和を!
(市議会議員・渡辺かつ子)